二杯酢、三杯酢、土佐酢の使い方、味の決め手はこれ

二杯酢は酢と醤油を合わせたもの。三杯酢は酢、醤油にみりんの甘味を加えたもの。そして、土佐酢は出汁を加えて、酸味、甘味を調整したもの。酢の味と醤油の味で食材の旨味が引き出される二杯酢や甘味で酸味を抑えて食材を引き立ててくれる三杯酢、出汁に少しの酸味が食材をさらに美味しくさせる土佐酢など、各酢のタレとその量の食材との組み合わせで美味しさをつくる。
<「科学で調理」 目次>
■ 煮る、茹でるの調理方法
 ・準備中 蒸す(いも、にんじん、なす、玉ねぎ、...)
■ 和え衣・たれ・ドレッシング
 ・酢の物(2杯酢、三杯酢、土佐酢)
 ・準備中 和え衣(ゴマ、からし、黄身、......)
■ 番外
■ その他

焼きなすと佃煮・茸ミックスの酢の物


焼いたなすの皮をむき、酢の物でいただくのも美味しい。アクセントに茸の佃煮をのせる。

あさりの佃煮/100g,50g

販売価格(税込): 594円、324
軽く茹でた野菜とご一緒に。あさりと醤油味に包まれた野菜の旨味が美味しさのハーモニーを作ります。
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1.味の決め手1:二杯酢、三杯酢、土佐酢の塩分、糖分、うま味

表1.二杯酢、三杯酢、土佐酢のレシピと特性

種類

レシピ

酸度pH


いずれも
ほぼ同じ酸度

塩分%

糖度%

出汁の旨味

二杯酢食酢 1
濃口醤油 1
3.5
一煮立ち後(*1)
7.2

塩分が高い

4.8
三杯酢食酢 1
薄口醤油 1
みりん 1
3.6
一煮立ち後
5.617.8

糖分でまろやかな酸味

土佐酢出汁 6
食酢 4
薄口醤油 2
みりん 1
砂糖 1
3.6
一煮立ち後
3.39.4あり

出汁でさらなる旨味の追加

 二杯酢は酢、薄口醤油を合わせて一煮立ち(*1)させたる。酸味も強く、塩分も高い。三杯酢は二杯酢にみりんの甘味を加え、酸味を丸くしている。土佐酢は合わせ酢の代表的なもので、出汁を加え、塩分、糖分を調整している。
 酸度pHは測定するとこの三つの酢のタレはあまりかわらない。塩分、糖分、出汁の有無がそれぞれの違いが味の決め手となっている。
 二杯酢を食材にたくさんかけると酸っぱく感る。二杯酢は糖度が低く酸味が強調されるからだ。使う量が少量ならば塩分も高いので食材の味を引き出して、酸味も美味しく感じる。
 土佐酢の場合は糖分を加えて酸味をまろやかにしている。さらに、出汁が入っているので食材のうま味と出汁がコラボもするのも楽しい。だが、塩分が少ないので土佐酢が少量では味がボケてしまうのだ。

2.味の決め手2:二杯酢、三杯酢、土佐酢の使う量

 それでは、酢のタレはどのくらいの量を使ったらよいのだろうか

 酢を使った料理はpH4〜6の範囲で美味しさを感じると言われている。また、塩分は1%前後。この二つの原則を使って、食材の量と酢のタレの量を計算してみた(表2)。

表2.食材の量と二杯酢、三杯酢、土佐酢の使用量

種類

食材の量


塩分1%程度で食材と各タレの量を計算

酸度pH


pHは少しの薄め方では変わらない

塩分%


塩分は1%前後

糖度%

美味しさ
二杯酢食材 10
二杯酢 1

食材にチョット掛けた程度
4.50.70.4

食材の旨味を酸味、塩分で引き出す

三杯酢食材 10
三杯酢 2

食材の下に、三杯酢がほんの少量溜まる程度
4.20.93.0

酸味を糖分でまろやかにして食材の旨味を生かす

土佐酢食材 10
土佐酢 3

食材の下の方が土佐酢で浸かる感じ
4.20.82.2

まろやかな酸味、出汁と食材の旨味がコラボ

 表2では二杯酢の使う量は食材の1/10。ほんの少しだ。たとえば、キュウリの小口切り、ワカメ、タコの刺身に二杯酢を少しだけかけて食べるとうまい。表2に相応している。
 また、表2では土佐酢は食材の3/10。それなりに多い量だ。経験的にも土佐酢は多めにかけないと味がボケて、美味しくない。

3.味の決め手3:二杯酢、三杯酢、土佐酢と食材の相性

 タコの酢の物に土佐酢は合わない。土佐酢では甘味や出汁の旨味が邪魔してタコの旨味が引き出せないからだ。一方、焼きなすな焼き椎茸などは土佐酢が食材にしみ込む。

 味の決め手の三番目は、酢の種類と食材の相性だ。食材別の相性を例を表3にあげた。

表3.二杯酢、三杯酢、土佐酢と食材の組み合わせ(例)

食材

二杯酢


食材の旨味を酸味、塩分で引き出す

三杯酢


酸味を糖分でまろやかにして食材の旨味を生かす

土佐酢


まろやかな酸味、出汁と食材の旨味がコラボ

生の魚介類


 タコ、イカ、貝類、生小女子
長芋

焼いた魚、鶏肉


 焼き穴子、焼きキス、焼き鶏皮(蒸した鶏肉もよい)

味の濃い魚介類


 生秋刀魚

昆布じめした魚


 太刀魚、平目

海藻類


 メカブ、もずく

生野菜


 キャベツ、トマト、乱切りキュウリ、大根(なます)

焼き野菜


 椎茸、アスパラガス、株、ナス、かぼちゃ、パブリカ

茹で野菜


 キャベツ、ほうれん草、そら豆、ジャガイモ、ベビーコーン
※水を多く含むものはしっかりと絞ること
酢、一煮立ち
*1)一煮立ち

 酢のタレの一煮立ちはツーンとくる酢の香りを飛ばすのが目的。鍋の周囲に泡が立ち、香りがし始めたら火から外す。煮立たせすぎると塩っけが立ってしまうので注意のこと。

カボチャとあさりの佃煮のマリネ


カボチャのマリネ。酸味の中のカボチャの甘みが美味しい。アサリの佃煮をのせて、アクセントをつけた。

山くらげと柿、茸の佃煮のマリネ


秋の長野の旅行で乾燥した山くらげを見つけた。夏、収穫され、乾燥して、市場に出る。シャキシャキした歯ごたえを酢で味付けした。柿の甘み、茸の旨味がアクセントとして美味しい。

茹でキャベツと紅鮭のリエットの酢の物


サッーと茹でたキャベツ。しっかり絞って、出汁、酸味を吸わせる。野菜の旨味が美味しい。

ベビーコーンとほうれん草、紅鮭のリエットの酢の物


ベビーコーンの甘味、ほうれん草のほのかの甘味を出汁の効いた土佐酢で召し上がってください。紅鮭のリエットが良いアクセントで味の奥行きをつくります。

オニオンスライスとあさりの佃煮の酢の物


スライスした玉ねぎは醤油の美味しさを引き立たせます。玉ねぎの辛味でお酒が進んでしまいます

ジャガイモとアサリの佃煮の酢の物


ポテッとした甘味はやはりポテト。酸味で味を立てせてもよい。拍子切りしたジャガイモを茹で、土佐酢にあわせた。おためしあれ。

焼き蕪と紅鮭のリエットの酢の物


焼いて蕪のうま味を引き出し、出汁のきいた土佐酢を掛けます。蕪のうま味に出汁と甘い酸味が効いて美味しい世界があります。紅鮭のリエットも出汁のひとつとして召し上がり下さい。なお、蕪は5mmから8mm程度にスライスして、焼いてください。

佃煮・茸ミックスをのせた千切りキャベツの三杯酢


キャベツの千切りに佃煮・茸ミックスをのせ、三杯酢を掛けた簡単な和風サラダです。キャベツと三杯酢の味がマッチ、佃煮・茸ミックスがアクセントでグーッドです。

トマトとキュウリとあさりの佃煮の酢の物


少し小さめにトマト、キュウリをぶつ切りにし、あさりの佃煮をのせて、三杯酢をかけていただきます。キリッとした辛口の日本酒を呑みながら、ひとつまみ。暑い夏の日にうまい。

酢の物にあさりの佃煮をのせて


塩水でしんなりさせた小口切りのキュウリとあさりが酢の物でベストマッチ

■まろやかな酢のたれ

だし 3

酢  2

薄口醤油 1

砂糖 1

土佐酢で味醂を使うところを砂糖に変えました。酸味を甘味でさらに和らげたレシピです。

生蕪と佃煮・茸ミックスの酢の物


蕪を2,3mmの厚さにスライスして、そのまま佃煮・茸ミックスをのせ、三杯酢を掛けます。生の蕪のチョットした辛味と三杯酢の甘酸っぱさ、佃煮の醤油風味のアクセントが美味しさをつくります。