二杯酢、三杯酢、土佐酢の使い方、味の決め手はこれ
1.味の決め手1:二杯酢、三杯酢、土佐酢の塩分、糖分、うま味
種類 | レシピ | 酸度pHいずれも | 塩分% | 糖度% | 出汁の旨味 |
---|---|---|---|---|---|
二杯酢 | 食酢 1 濃口醤油 1 | 3.5 一煮立ち後(*1) | 7.2 塩分が高い | 4.8 | ー |
三杯酢 | 食酢 1 薄口醤油 1 みりん 1 | 3.6 一煮立ち後 | 5.6 | 17.8 糖分でまろやかな酸味 | ー | 土佐酢 | 出汁 6 食酢 4 薄口醤油 2 みりん 1 砂糖 1 | 3.6 一煮立ち後 | 3.3 | 9.4 | あり 出汁でさらなる旨味の追加 |
二杯酢は酢、薄口醤油を合わせて一煮立ち(*1)させたる。酸味も強く、塩分も高い。三杯酢は二杯酢にみりんの甘味を加え、酸味を丸くしている。土佐酢は合わせ酢の代表的なもので、出汁を加え、塩分、糖分を調整している。
酸度pHは測定するとこの三つの酢のタレはあまりかわらない。塩分、糖分、出汁の有無がそれぞれの違いが味の決め手となっている。
二杯酢を食材にたくさんかけると酸っぱく感る。二杯酢は糖度が低く酸味が強調されるからだ。使う量が少量ならば塩分も高いので食材の味を引き出して、酸味も美味しく感じる。
土佐酢の場合は糖分を加えて酸味をまろやかにしている。さらに、出汁が入っているので食材のうま味と出汁がコラボもするのも楽しい。だが、塩分が少ないので土佐酢が少量では味がボケてしまうのだ。
2.味の決め手2:二杯酢、三杯酢、土佐酢の使う量
それでは、酢のタレはどのくらいの量を使ったらよいのだろうか
酢を使った料理はpH4〜6の範囲で美味しさを感じると言われている。また、塩分は1%前後。この二つの原則を使って、食材の量と酢のタレの量を計算してみた(表2)。
種類 | 食材の量塩分1%程度で食材と各タレの量を計算 | 酸度pHpHは少しの薄め方では変わらない | 塩分%塩分は1%前後 | 糖度% | 美味しさ |
---|---|---|---|---|---|
二杯酢 | 食材 10 二杯酢 1 食材にチョット掛けた程度 | 4.5 | 0.7 | 0.4 | 食材の旨味を酸味、塩分で引き出す |
三杯酢 | 食材 10 三杯酢 2 食材の下に、三杯酢がほんの少量溜まる程度 | 4.2 | 0.9 | 3.0 | 酸味を糖分でまろやかにして食材の旨味を生かす | 土佐酢 | 食材 10 土佐酢 3 食材の下の方が土佐酢で浸かる感じ | 4.2 | 0.8 | 2.2 | まろやかな酸味、出汁と食材の旨味がコラボ |
表2では二杯酢の使う量は食材の1/10。ほんの少しだ。たとえば、キュウリの小口切り、ワカメ、タコの刺身に二杯酢を少しだけかけて食べるとうまい。表2に相応している。
また、表2では土佐酢は食材の3/10。それなりに多い量だ。経験的にも土佐酢は多めにかけないと味がボケて、美味しくない。
3.味の決め手3:二杯酢、三杯酢、土佐酢と食材の相性
タコの酢の物に土佐酢は合わない。土佐酢では甘味や出汁の旨味が邪魔してタコの旨味が引き出せないからだ。一方、焼きなすな焼き椎茸などは土佐酢が食材にしみ込む。
味の決め手の三番目は、酢の種類と食材の相性だ。食材別の相性を例を表3にあげた。
食材 | 二杯酢食材の旨味を酸味、塩分で引き出す | 三杯酢酸味を糖分でまろやかにして食材の旨味を生かす | 土佐酢まろやかな酸味、出汁と食材の旨味がコラボ |
---|---|---|---|
生の魚介類タコ、イカ、貝類、生小女子 | ◎ | ◯ | ー |
長芋 | ◎ | ◯ | ー |
焼いた魚、鶏肉焼き穴子、焼きキス、焼き鶏皮(蒸した鶏肉もよい) | ー | ◎ | ◯ |
味の濃い魚介類生秋刀魚 | ー | ◎ | ◯ |
昆布じめした魚太刀魚、平目 | ー | ◎ | ◯ |
海藻類メカブ、もずく | ー | ◎ | ◯ |
生野菜キャベツ、トマト、乱切りキュウリ、大根(なます) | ー | ◎ | ◯ |
焼き野菜椎茸、アスパラガス、株、ナス、かぼちゃ、パブリカ | ー | ◯ | ◎ |
茹で野菜キャベツ、ほうれん草、そら豆、ジャガイモ、ベビーコーン ※水を多く含むものはしっかりと絞ること | ー | ◯ | ◎ |
山くらげと柿、茸の佃煮のマリネ
焼き蕪と紅鮭のリエットの酢の物
佃煮・茸ミックスをのせた千切りキャベツの三杯酢
トマトとキュウリとあさりの佃煮の酢の物
酢の物にあさりの佃煮をのせて
■まろやかな酢のたれ
だし 3
酢 2
薄口醤油 1
砂糖 1
土佐酢で味醂を使うところを砂糖に変えました。酸味を甘味でさらに和らげたレシピです。
酢のタレの一煮立ちはツーンとくる酢の香りを飛ばすのが目的。鍋の周囲に泡が立ち、香りがし始めたら火から外す。煮立たせすぎると塩っけが立ってしまうので注意のこと。